先週は帰省し、初期のアルツハイマーと診断されている82歳の母に同伴して、担当医師と面談しました。母は自分は正常であることを証明しようと、前日から、歴代首相の名前などの暗記し、診断テストに備えていました(準備しても無関係ですが)。
医師によれば、母は数分前の記憶が欠落するだけで、他はまったく正常とのこと。4桁の数字を告げ、それをうしろから言い直させても、驚くほどさっと正解が言えます。
実は、母には年末年始を境に大きな変化がありました。昨年は、毎日のように、財布がない、お金がない、印鑑がない、通帳がない、盗まれたと、私に電話をかけてきました。パニック状態で、一日数回に及ぶこともありました。ところが、今年に入って、それがぴたりと止んだのです。私の方から毎日のように電話をしても、「すべてある。困ったことは何もない」との返事です。逆に気味悪く心配になりました。ヘルパーさんに確認すると、本当に落ち着いているとのことでした。
医師にその旨告げると、「縮んだ脳は元には戻らないが、進行を食い止め、記憶を補うこと、あたかも記憶力があるかのように思われる状態?を作り出すこと、は可能である。そして、何がその変化をもたらしたのかを探り出すのが家族の務めだ」とのことでした。
で、思い当たったのは三つです。一つは年末から猫を飼い始めたこと。母は猫を相手にしょっちゅう話しかけ、面倒を見てやっていました。
二つ目は、お金の置き場所を、泥棒が入っても絶対わからないが、自分にはわかりやすい所に変えたこと。それが安心感を与えたのでしょう。昨年までは、あちこちに隠しては忘れるリス状態でした。
三つめは、何度も意識的に声に出して復唱すること。母は刺激的な出来事だけはしっかり覚えていて、私に話すのです。ただし、何度も聞かされますが。
つまり、語りかける相手がいること、安全・安心感、そして復唱です。これはアルツハイマーではなくても、御国の暮らしにも必要なことですね。(2010年1月31日)

