創造主なる神は「永遠なる方」です。永遠とは、時間に支配されない、あるいは時間の外にあるということです。ですから、永遠なる神にとっては、過去も現在も未来もありません。みな同じです。時間の外にあって過去、現在、未来を同時に(?)見ておられるということになります。それは、どんな光景なのでしょうか。
最近、イタリアの理論物理学者カルロ・ロヴェッリの『時間は存在しない』という本を興味深く読みました。宇宙に「単一の時間は存在しない」、物体それぞれの時間があり、「所変われば時間も変わる」というのです(それがこの本の第1章のタイトルです)。宇宙のどの地点の時間も標準にはなりえません。異なる時間が、宇宙空間の各点に無限に散らばっているのです。
つまり、この地球上でも、人はそれぞれ異なる時間を過ごしています。時間の流れが個人個人で違うのです。そんなバカな、と言いたくなります。でも、実際に、低地の人の時間は、山の上の人よりゆっくり流れます。また、動いている人の時間は静止している人よりも、ゆっくり進みます。飛行機に乗って高い空を飛び、外国に旅して来た人は、東京の地上にとどまっていた人より、時間の進みが遅いのです。その時間の差は、精巧な時計なら測れるそうです。50万円ほどの時計です。
こんなことが言えるそうです。4万光年離れたプロキシマ・ケンタリウスbという星に住む友人と、スカイプで交流したとします。友人が発信した情報は、4万年経って「現在」の私に届きます。しかし、その情報は彼の「過去」です。互いの「現在」は共有できません。友人が発信して2万年経ったとき、友人の情報はまだ私には届いていません。宇宙空間にあります。その情報は過去なのでしょうか。現在なのでしょうか。未来なのでしょうか。そのどれでもありません。そんな情報が数限りなく宇宙を飛び交っているわけです。宇宙は、そんな過去でも未来でもない出来事の集まりです。つまり、宇宙には同じ「今」という時間は存在しないのです。
それが、現代物理学が到達した結論だそうです。
宇宙の創造主が、時間の外にあって、私たちの過去、現在、未来を「同時に」見ておられるというイメージが、なんとなく持てたかなあという気分です。
この本は、時間について、量子力学の素人でも興味深く、最大限にわかりやすく語ってくれています。それでも、難解ではありますが。

